飛行機

グローバル化と叫ばれる中、日本への優秀な留学生の呼び込みや、日本人の国外への留学を後押ししています。現在日本から国外へ留学する学生は2016年、約9万人。しかしそのうち半数以上は、1カ月未満の短期留学がしめています。その一方中国から留学のため出国する人は60万人を突破。人口や国情が違うため単純には比較はできませんが、ここでは中国人の国外留学の状況を紹介します。

中国人の国外留学状況

中国教育部の発表によると、2017年、中国人で海外に留学する人は、2016年に比べ10%増加し、60万人を突破しました。改革開放以降、この40年のあいだで、累積約519万人が国外に留学し、現在約145万人が国外で大学、研究所などで勉学に励んでいます。 近年、ヨーロッパなどの発展国を中心に留学する人が増加しており、中国政府が推し進める「一帯一路」政策によるものと評価されています。

一流大学出身者の海外熱

現在、優秀な人材はほとんど、アメリカ、ヨーロッパへの留学を選んでいます。90年代、中国人の日本への留学は憧れでした。しかし、中国の経済が発展した今、日本の留学先として魅力は失いつつあるようです。 一流大学の卒業後の動きをみてみましょう。

清華大学の卒業生は17%が国外へ

清華大学といえば、中国の理系の大学ではトップの大学で、多くの現在の中国の大手IT企業やベンチャー企業をけん引する優秀な人材を輩出しています。その清華大学の卒業生の17%は国外に出国、そのうち約67.8%はアメリカに行きます。次に多いのは8.3%のイギリス、そして5.3%が香港となっています。その多くは留学というより就労のため出国しています。アメリカ、ヨーロッパの大手企業はこのような中国の優秀な人材の確保にのりだしています。残念ながら日本は彼らの就職先とはなっていないようです。

北京大学の卒業生は15%が国外へ

北京大学は中国の最高学府です。清華大学が理系に対して、北京大学は総じて文系が強くなります。2017年北京大学の卒業生が出国したのは1167人。清華大学と違い、多くが留学生として出国しているのが特徴です。そのうち62.8%がアメリカ、9.2%がイギリス、次に4.2%の日本が続きます。北京大学では日本語学部や、日本関連の研究をしている学生も多いので、そのような学生が主に日本に留学します。

中国に帰国する留学生

日本人の留学の大半は、数カ月もしくは長くて1年。国外で学位を取得するまで留学する人はまだ全体の割合からみると少ないのが現状です。しかし、中国人で国外に留学する人は、国外での学位取得を目指している人が多く、そのままその国で就職する人も多くいます。日本に来ている中国人留学生の多くが日本で就職しているのと同じです。

しかし、この数年、中国人留学生の動きに少し変化が現れました。現地で就職し、そのまま生活するのは、中国の所得水準がアメリカや日本などの先進国に比べて低く、良い就職先も少なかった時のこと。 現在では海外で学んだり、企業で働いた中国人たちが、その国や会社で学んだ技術を中国に持ち帰り、起業したり、国内の大手企業などに転職するのが流行っています。中国の企業は日本より給与体系もフレキシブルで、優秀な人材には破格の金額を提示して、人材確保をするのです。

彼らは「海亀」とよばれます。「海亀」は「海外から帰国する」という意味の「海帰」と同じ発音からきています。中国政府も国をあげて、こういった優秀な人材の帰国の支援にのりだしています。 その政策の裏には海外技術の流入という目的があります。

日本の現状

日本の政府も、2020年に向けてさらなるグローバル化促進のため、優秀な留学生の確保や、日本人の国外への留学を促すように考えています。しかし、それだけでグローバル化が進むのか私には疑問です。

まず日本人の国外留学ですが、大学生にアンケート調査によると「留学したい」という学生は40%にのぼるものの、希望する期間は1~6カ月という学生が半数にのぼり、圧倒的に短いです。

半年ほどの留学では正直、語学力を高め多少国外の社会に触れるほどで、その国の社会や技術、文化を磨いてくるには短すぎ、それだけで海外で活躍する人材になるのは、難しいでしょう。ただ、国外で4年生大学を出ても、日本国内の大手企業にそれを受け入れる土壌があるかというと、それも不十分です。

経済的な理由で国外留学に行けない人もいます。しかし、それ以上に、日本人の学生含め若者の海外に対しての憧れや、意識があまり育っていないように感じるのです。海外に留学して学位をとったら、よい就職先に出会えるのでしょうか。さらによい暮らしができるのでしょうか。正直、日本国内の大学を無難にでたほうが苦労しなくて良い気がしませんか。もし経済的に現在苦しくても留学することでステップアップが考えられる社会なのであれば、そういった選択肢を選ぶ人も自然に増えるのではないでしょうか。

同様に海外の優秀な人材をそのまま日本の企業が受け入れることができるかといえば、簡単な問題ではありません。実験的に受け入れてはいるものの、他の社員とのトラブルや、考え方の違い、外国人を取りまとめられるぐらいのリーダーシップをもった上司が育っているかというとまだまだです。

けれども、このまま日本も何もしなければ、中国に技術力、経済力ともに負けてしまうかもしれません。しかし、こういった危機意識が日本人があまりないような気がします。グローバル化ということは、競争相手が増え、それだけ熾烈な争い、文化の衝突になっていくということだと、わたしは考えています。単純に人を受け入れればよい、出せばよいという問題ではないのです。それにともなって多くの問題も起きていくということが念頭にいれつつグローバル化の方法を考えていく必要があると思います。

最近、80年代、90年代留学生として来日し、現在も日本に住む中国人の人からはこういった声が聞かれます。「昔は、日本に憧れてきた。そして中国の地元の人よりいい生活ができた。でも今は逆だわ。中国にいる同級生の方がわたしよりお金持ちよ。」
スポンサードリンク